グリッド技術を基盤にした大容量データに対する遍在するアクセスを可能にす る技術をデータグリッドと呼び,複数のシステムの設計・実装が行われている. しかしながら,それらは実験段階にあり,データグリッドアーキテクチャの設 計方針の妥当性や性能に関する議論は不十分である. 本稿では,Bricksグリッドシミュレータにデータグリッドシステムに対する 拡張を行い,Grid Datafarmアーキテクチャに基づくデータグリッドモデル における高エネルギー物理アプリケーションジョブの性能について比較・調査 した. データグリッドモデルでは,CentralモデルとTierモデルを比較し,Tier モデルでは様々なスケジューリングと複製手法を適用し,2007年に開始され るCERNの高エネルギー物理実験を想定してその性能を評価した.評価では, Centralで効率よく処理できること,Tierではバックグラウンドに複製を 作る手法を用いると効率よく処理でき,1サイトの性能がCentralより低い 構成でもCentralよりよい性能を示すことが分かった.