Abstract


Globusはグローバルコンピューティングのソフトウェアインフラストラクチャ に必要とされる様々な要素技術を提供するツール群である.我々はdenyベース のfirewallを越えて計算資源を利用する機能をGlobusに組み込み,グローバル コンピューティング環境を構築した.今回追加した機能は,新しい型のGlobus Resource Allocation Manager(GRAM)であるRMF(Resource Manager beyond the Firewall)およびNexusのTCP通信を中継するNexusProxyにより実装される.ま た,globusを用いたMPICHの実装であるMPICH-Gを用いて探索問題の並列解法を 実装し,グローバルコンピューティング環境でその実行性能を測定した.本稿 では今回構築したグローバルコンピューティング環境の概要と実装,その上で 並列プログラムを実行した際の性能,プログラミングの留意点,およびグロー バルコンピューティング環境の構築に向けての指針を述べる.グローバルコン ピューティング環境で並列計算を行なう場合,通信量の抑制と負荷分散が効率 に大きな影響を与える.これらの点に留意してプログラミングを行なうことに より,十分実用的な性能が得られることがわかった.